ユキヒョウ

ユキヒョウ(Panthera uncia)は、食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類。
分布
アフガニスタン東部、インド北部(ウッタラーカンド州、シッキム州、ジャンムー・カシミール州、ヒマーチャル・プラデーシュ州)、ウズベキスタン東部、カザフスタン東部、キルギス、タジキスタン、中華人民共和国西部(甘粛省、四川省、青海省、新疆ウイグル自治区、チベット自治区)、ネパール、パキスタン北部、ブータン、モンゴル、ロシア南部[2][7]。雲南省では絶滅[2]。

模式標本の産地(模式産地)はアルタイ山脈とされている[4][5]。上記の国のアルタイ山脈・天山山脈・ヒマラヤ山脈・ヒンドゥークシュ山脈・パミール高原に分布[2][3][7]。

個体数は世界全体で4080~8700頭と推定されている。国際自然保護連合(IUCN)が1972年に絶滅危惧種に指定し、各国は保護区の設定や狩猟禁止などの措置をとっている。だが地球温暖化や開発による生息環境の悪化と狩猟により、2015年までの過去16年間に個体数が20%以上減った可能性があると世界自然保護基金(WWF)は報告している[9]。

形態
体長100 - 150センチメートル[6][7]。尾長80 - 100センチメートル[3][7][8]。肩高60センチメートル[7]。体重オス45 - 55キログラム、メス35 - 40キログラム[7]。尾は太くて長く、斜面や雪上でバランスをとるのに適している[7]。尾も含めた全身は長い体毛で被われ、冬季には特に伸長(例として腹部は夏季5センチメートル、冬季12センチメートル)し温度の低い高山帯に適応している[3][7]。体色は背面が淡灰色や淡黄色[7]、腹面は白い[6][3]。体側面には暗色の斑紋で縁取られた不明瞭な斑紋が入る[3]。正中線に沿って黒い筋模様が入る[6][7]。

耳介は小型[3]。眼は上部に位置し、岩陰に隠れながら獲物を探すのに適していると考えられている[3]。虹彩は灰黄色で、瞳孔は丸く収縮する[3]。鼻腔は幅広く[8]、これにより冷たい空気を吸い込んでも温めて湿度を与えることができる[7]。足裏は体毛で被われ[3]、防寒や接地面積が大きく雪面でも滑りにくくなっている[6]。

出産直後の幼獣は体長24センチメートル[7]。体重300 - 600グラム[8]。

分類

 ネコ亜科(もしくはネコ族)

(Johnson et al., 2006)よりX染色体・Y染色体・ミトコンドリアDNAの遺伝子より推定した系統樹より抜粋[10]
本種のみでUncia属を構成する説もあった[4][5][7]。2006年に発表されたX染色体・Y染色体・ミトコンドリアDNAによる分子系統解析ではトラと単系統群を形成すると推定されている[10]。

生態
標高600 - 6,000メートルにある岩場や草原・樹高の低い針葉樹林などに生息する[7]。獲物や積雪にあわせて夏季は標高の高い場所へ、冬季は標高の低い場所へ移動する[3][7]。夜行性だが[6]、昼間に活動することもある[3]。岩の隙間や断崖の上・ヒゲワシの古巣などで休む[6][7]。

食性は動物食で、主にバーラルPseudois nayaurを食べるがアルガリ・ゴーラルNaemorhaedus goral・コウジョウセンガゼルGazella subgutturosa・シベリアアイベックスCapra sibirica・チベットガゼルProcapra picticaudata・チルー・ヒマラヤタール・マーコール・ムフロン・ヤク・アジアノロバ・イノシシも食べる[8]。ハタネズミ属・マーモット属などの齧歯類・ナキウサギ属Ochotona・ノウサギ属などの小型哺乳類、鳥類なども食べる[8]。家畜を捕らえることもあり[7]、地域によっては食性の53%を占める[2]。

繁殖形態は胎生。1 - 5月に交尾を行う[3][6]。妊娠期間は90 - 105日[8]。岩の隙間や洞窟・樹洞に、1回に主に2 - 3匹の幼獣を産む[3]。産座には母親が腹部から抜いた体毛を敷く[7][8]。生後7日で開眼し、生後2か月で固形物を食べるようになる[7][8]。授乳期間は5か月[8]。オスは性成熟に4年かかることもあるが、メスは生後2 - 3年で性成熟する[8]。寿命は10年以上、21年に達するとする説もある[7]。

人間との関係
毛皮が利用される[2][6]。骨が薬用(トラの骨の代用品として)になると信じられている[2][7]。爪・肉・陰茎なども取引される[2]。

家畜を襲う害獣とみなされることもある[7]。ユキヒョウはヒョウのように人を襲う事はない[11]。

毛皮用や薬用の密猟、家畜との競合による獲物の減少、害獣としての駆除などによって生息数は激減している[2][6][7]。ソビエト連邦崩壊後は密猟が増加したが[2]、集団農場の活動が低下したため獲物の量は増加した[7]。

日本では1987年に札幌市円山動物園が、日本国内の動物園で初めて飼育下繁殖に成功した[3]。 日本では特定動物に指定されている[12]。

生息地ではなかなか姿を見せない事と、その遠吠えから、チベットなどでは、ユキヒョウの咆吼を雪男の声と錯覚していた事もあった[13][疑問点 – ノート]。

マスコットキャラクター
第22回オリンピック冬季大会(2014年・ソチ)においてはホッキョクグマ、野ウサギと共にユキヒョウがマスコットキャラクターに選ばれた[14]。

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